撮影:Zaki、なみ〜     ▲このページのトップへ



やっぱロックコアはおもしろい!
Zaki による独断と偏見に満ち溢れたロックコア2005のレポート

出演者の皆様、関係者の皆様、そしてご来場の皆様、有難うございました。
お陰で楽しい一日となりました。



Zo-3's

とにかく面白い。掛け値無しで楽しめる。かといって、お笑いバンドとは全く違う。パープルやらツェッペリンなどの正しいネタをきちんと押さえている。コンセプトがしっかりしていて、きちんと企画されている。彼らのスタイルを簡単に真似しようったってそううまくはゆくまい。何が面白いかということを見ていない人、聴いていない人に説明するのは難しい。あの場の雰囲気でしか味わえないものだ。日本語への直訳ロックの王様を進化させたと言えば分かりやすいか。しかし、それとも違う。なにしろ演歌の詞を強引にハードロックに乗せてしまうのだ。ツェッペリンの「ブラック・ドック」と北島三郎の「与作」を融合した「ブラック与作」。「天国の階段」と藤けい子(宇多田ひかるのお母さん)の「夢は夜ひらく」をミックスした「天国の夢は夜ひらく」など。もちろん詞が演歌で曲はロックである。逆だったら大変なことになってしまう。「天国の・・・」なんて、サビの部分で「夢は夜ひらく!」をシャウトするのだ。これが笑わずにいられるか。笑えない人は是非70年代のロックをもう一度勉強してほしい。それはともかく、ギター氏(ごめんなさいお名前失念しました)は、「天国の階段」を演奏するためにWネックのギターをわざわざ作ったというから凄い。もちろんZo-3のギターである。ケースまで専用のものを作っている。本当に恐れいる。なにしろ自宅にギターを40本も所有しているというから驚きだ。今回のZoー3'sは、ドラム氏とベース氏をPaPaBANDが代役した。自分のバンドだけでも大変なのに、ご苦労さまでした。ドラムもベースも迫力満点で非常に良かった。ベースを勤めたPaPaBANDのHakaman氏がZoー3's入りという噂も囁かれているとか。



ミューズ
Zo-3'sに続いて2番手に登場。因みに順番はなんとなく決まったということで、あまり意味はない。しかし。Zo-3'sといい、ミューズといい、元気なバンドが初めのほうに登場してくれるのは、イベントとして いい流れだ。弾みがつくというものだ。ミューズは、「M♂USE」と表記する。ボーカルのMが3人の男どもをこき使う(つまりUSE)という意味らしい。なかなか凝ったネーミングである。いや、凝っているのはネーミングだけじゃない。音作りにも非常に凝っていた。ギターのエフェクトのかけ方なんて、ちょっと詳しい人なら「ううっ」と唸ってしまう。もちろん、演奏もかっこいい。ベース氏のフットオルガンや、ドラムのグルーブ感なんてプロのレベルに近いのではないか。さすがにZXのオーナーが「なかなか凄いバンドですよ。」と言うだけのことはある。しかも全曲オリジナルで、きちんと山谷(やまたに)がある飽きさせない構成で、独特の雰囲気を持っている。ビジュアルもばっちり。パンクっぽい衣装だ。ギター氏はスリムなボディにぴっちりしたパンツ(ズボン)に、ミリタリーっぽいブーツ。ヘッドの無いギター(それ何と言うんだっけ?)も似合っていた。ああいうタイプのギターが似合う奴はなかなかいないぞ。ベース氏は豹柄ではないけど、それに近い雰囲気。いかにも、ロックやってます、という正統派のスタイルである。ま、若いから出来るのだと言っておこう。そのうち腹がでっぱってきて、着たくてもも着れないことを思い知るがよい。ボーカルのMはきちんとシャウトできるロッカーである。ちっちゃくて、可愛らしいのに、小憎らしいほど声が出る。まだ高校を卒業したばかりだということだ。すげえ。ベース氏の歌も良かった。ちょっと大仁田厚を細くしたような顔だちもいい味出してる。



Chisato CCB

新習志野の某社の社員同士でバンドを結成してから○十年という。途中のブランクがあるにせよ年季が入ったバンドなのだ。本当はフルバンドなのだが、今回はメンバーの海外出張などでChisatoさんのボーカルと太田さんのギターのデュオ。うねるギターをバックにシャウトするChisatoさんが本来の姿なのか、それともしっとりと歌うChisatoさんがそうなのか、おそらくどっちもなのだろうが、アコースティック1本のCCBも私は好きだ。歌がくっきりとしているから、歌詞をかみしめて聴くことが出来る。CCBのステージが終わって、「うっかり泣きそうになった。」と言う中年おやじが何人いたことか。それほどChisatoさんの歌には魅力がある。特に高音部にかけての繊細にかすれてゆく感じがたまらない。家でもあんな感じで歌ってくれたら旦那は大喜びだろう。ちっくしょう、羨ましいぜ。太田さんのギターも素晴らしい。いかにもベテランらしい弾き方だ。小さい音の効果を知っている人だ。ダイナミックレンジが広いから情感がこもっている。太田さんのお人柄もこのバンドをより良くしているのは言うまでもない。演奏曲は松田聖子が結婚してない頃のヒットナンバー2曲に、「宵待ち草」という後半にシャウトがある曲。そして、「ラストナンバー」(でよかったのかな?)で締めくくり。トークもお上手で、さすが場慣れした実力を感じた。ただChisatoさんご本人は花粉症で大変だったらしい。この季節が終わった後でもまたコアのステージにあがってほしい。



PaPaBAND

なにも言うことはないくらいかっこいい。とにかくかっこいいのだ。これぞ、ロックという感じ。世代が我々とほぼ同じということなので、余計にそう思う。PaPaBANDのステージはもう何度も見させて、いや聴かせて頂いているが、とどまることを知らないくらい進化している。元々うまいプレーヤーが勢ぞろいしていることもある。が、問題はマインドだ。心からロックを音楽を愛している。それは選曲にも表れている。今回もクラプトン、イーグルス、ビートルズなどなどロックを語るときに欠かせないアーティストの曲を演奏した。ビートルズについては、EXのじょん吉さんに勝るとも劣らないノブさんが、そして泣きのギターのハカマンさんのクラプトン、ボーカルのミスター栄町の味のある声など、すべてにおいてアマチュアのおやじバンドの域を越えている。一見、ミスターの変装が楽しくて、ついついお笑いバンドか、と思わせるフシもあるが、うまくなくてはお笑いもできない。Bad Smellの某ベーシストがお笑いばかり目指しているのと対照的だ。ミスターは声質も良いが、ロックを歌う為に生まれてきたのではないかと思うくらいのセンスがある。それから、今回特に感じたのは、イガイガ氏のベース、キース氏のドラムの凄さだ。文句無くうまい。というか、何があっても大丈夫という包容力があり、がっちりとしたリズム隊である。この2人がいる限り、PaPaBANDはどんなことをしても許されるのだ。そのくらい凄いと感じた。お釈迦様の手のひらのようでもある。更にPaf氏のギターももちろん良いのだが、今回ギターで初登場のJack氏のギターは特筆に価する。彼は普段キーボードを弾いている。いきなりギターで登場して、注目を浴びるのは、晴れた休日にイキナリ出てくる白バイのようでずるいのだ。卑怯者と叫びたくもなるが、かっこいいので仕方ない。だいたい、キーボードプレーヤーでギターがうまいということだけでも、ずるい。逆にギタリストでキーボードを自在に弾ける奴は少ないのだから。
「魔女のささやき」 by PaPaBAND (Produced by Hinason)



EX

いつもならボーカルにタッキー氏、そしてドラムにKID氏がいて、MIX JAMというバンドとして出演する。今回その2人が療養中につき、出演できないこともあり、EXというバンド名になった。だから少々普段の彼らのステージとは異なる印象を持った方々も多いのではないか。それだけ、タッキー、KIDの2人の存在感は大きい。しかし、それでももう一人のボーカルRIKOさんとじょん吉さんが頑張った。このバンドの特長のひとつに全員が皆メインボーカルをやれるだけの歌唱力がある。タッキーのいない穴を周りが見事にカバーしていた。また、得意中の得意なビートルを数曲披露してくれた。じょん吉さんの本物のイングリッシュと、しっかりした音程、心からビートルズを愛してやまないマインド、そしてマッキーのポールマッカートニーの「歌うベース」をかっちりマスターした演奏にうっとりした。それから昨年流行った「ジュピター」の演奏。ジャンルにこだわらない彼らならではの選曲。叙情的なケビン氏のキーボードは表現豊かで、このバンドの多彩さの大きな要素になっている。また、昨年のガーデンウォ〜ク辺りから取り入れているフュージョン「あたりめ」の演奏。速弾きのボサオ氏の加入がwatch氏のインストをやりたいという願望を叶えた。難しい曲なのに、実にソツが無い。安心して聴けた。そこで光るのがマッキーのスラップベースだ。昔はサムピック奏法と呼ばれ、ルイス・ジョンソンが得意とした技だ。日本では後藤次利などが始め、今じゃすっかりポピュラーなチョッパー奏法として定着している。ベイ中では今までチョッパーは南氏の専売特許で、フュージョンの南、ポップスのマッキーと人気を2分していたが、いよいよマッキーもフュージョン畑に本格的に参入してきたなという予感がする。しかし、単にテクニカルな部分だけではなく、常に新しい曲にどんどんチャレンジしてゆくという精神がマッキーの、そして、EXの最大のウリなのである。



BAD SMELL 100cc

自分が参加させて頂いたバンドのことをヨイショしたら、まったくの自画自賛になってしまうので、あまり褒めたくはなかったのだが、しかし、いい味出してたので、ついつい掟破りのコメントになってしまうことをお許しくだされ。前半を勤めてくれたベースの御徒町さんの堅実なプレイ。高橋さんのかっこいいドラムのリズムセクションに、クリスの自在なギター(「Born to be Wild」はかっこよかったなあ。)、カッティングのYoshiさん、そしてブルースマインドが漂う細川氏のキャラと、役者は揃っている。もちろん、ヒナソンの泣きのギターはますます磨きがかかる。選曲はバラバラだったが、メインにレイナード・スキナードの「That Smell」を持ってきたり、ドゥービーを2曲、イーグルスなどなど70年代の香りをプンプン漂わせていたと感じてもらえたら幸いである。圧巻は、「Long Train Runnin'」の西村氏のハーモニカと、ヒナソンと高橋氏のパーカッションとドラムのやり取りだろうか。なかなかここまでのプレイが出きる人は少ないはずだ。因みに西村氏はまじめに音楽を勉強した人間で、トロンボーンもギターも出来る。ハーモニカだけの出演では勿体無い。ヒナソンとてビーグルハットというNHKの「みんなのうた」にも出るくらいの実力バンドでドラムを叩いている。それから忘れてはならないキーボードの有水氏の存在。「Love of Mine」や「While My Guitar・・・」では見事なピアノを披露してくれた。声もなかなかで、「Change the World」でのボーカルは評価が高い。ビジュアル的にもあのスキンヘッドは凄い。暑い時に電車の中で帽子を取ると、瞬時に周囲が凍ってしまうほどなのだ(本人談)。また、御徒町、有水のコーラスも見事だった。メインボーカリストのズッキーはご指摘の通り、風邪気味の為に消化不良の感も否めないが、それでも声を潰す覚悟でシャウトしていた。自分で選んでおきながら、しょっぱなに音を外してしまった「Love of Mine」とヘタなMCはご容赦願いたい。精進して再びこのステージに立てるようにしたい。



美浜カーニバルボーイズ with レモン

私は彼らの演奏を聴くのがこれで2度目である。前回は昨年のクリスマスの稲毛のライブハウスで。あの時はとてつもなく迫力があったのだが、頂いた投稿にもあるように、少々音量を遠慮していたようである。ボーカルの声質やテクニックやマインドは十分なのに、残念だ。ギャーとわめくようなギターが一番の持ち味だと思うので、次回は是非ど迫力でやってほしい。が、しかし、ギター&ボーカル氏の一見不良っぽいルックスといい、思いきり歪んだギターはいかにも若者らしくていい。第一、ストラップを長く延ばすのは私のように腹が出た人間には絶対に辛い。羨ましいことだ。アップテンポなリズムも我々40歳代の出来ない領域なので、ロックコアに新鮮な風を送りこんでくれたような気がする。ベース氏はおとなしそうな感じで頼りなく見えるが力強い音をブンブン言わせてた。ルックスだけで判断すると、ギター氏(以下、中根君と表記)がベース氏にバンド内恐喝をしているようで面白い。当然そんなことはないのでご安心を(実は逆だったりして)。ドラム氏は、好青年という感じ。キーボード女史もちゃんとした人のように見える。正しい日本人という感じ。言い方は悪いが、それだけ中根君の不良な感じが際立っていたということだ。不良っぽく見せるのはロックの基本だと言っても過言ではない。その点だけでもこのバンドはかなり出来がいいと思う。とは言え、問題は中身だ。詩人・舩後さんがベッドの中で作った心の叫びを中根君が全曲作曲し、そして魂を込めて歌い上げている。もう既に書かれてしまったが、私も彼らの音楽は力強く生きてゆくことの大切さを訴えたメッセージソングであると思う。正直、私がもし舩後さんの立場だったらきっと死を選んでいるだろう。しかし、彼は生きることを選択した。しかも、「生きざま」という曲の歌詞にもあるように、「憐れみはお門違いさ、尽くし尽くされ生きてゆく」と、健常者にも力を与えてくれるような内容とパワーがある。42歳でALSを発病。今年47歳だから5年前には私達と同じように会社に通い、そしてバンド活動をやっていたごくごく普通のロックおやじだったのだ。彼のギターは華麗だったと当時のメンバーは証言する。大好きなギターが弾けなくなってさぞや無念だろう。そればかりでなく、言い尽くせぬ悲しみがあったであろう。しかし、彼は悲しみを乗り越え、人々に希望を与えるほうの立場になった。彼には彼の意思を表現をしてくれるバンドが出来た。美浜カーニバルボーイズwithレモンは、舩後さんとともに、これからもたくさんメッセージを発してゆくはずだ。ロックコア2005のトリに最も相応しいバンドである。どうぞ皆様も彼らとそして舩後さんともっともっとコミュニケーションを深めましょう。


誤字脱字はご勘弁ください。
(2005.2.23 Zaki)
▲このページのトップへ


  [ロックコア2005概要] [ロックコア2005 出演者一覧] [ロックコア2005 スケジュール
 [ロックコア2005 リポート] [ベイタウン・ミュージック・フェスタ